なぜ社長が頑張っても売上が伸びないのか~「努力」と「成果」が噛み合わない本当の理由

~ 中小企業の社長が知っておくべき『目標・KPI・利益』の考え方|第1回

「これだけ動いているのに、なぜ売上が伸びないのか」

中小企業の社長と話していると、必ずと言っていいほど出てくる言葉です。
商品やサービスに大きな問題があるとは思えない。
価格も、競合と比べて極端に高いわけではない。
営業も、それなりに足を使っている。

それでも数字は伸びない。
むしろ、社長自身が現場に出る回数が増えているのに、業績は横ばい、あるいはじりじり下がっている。

この状態に陥っている会社は、決して少なくありません。
そして重要なのは、これは「努力不足」の話ではないという点です。

1.「頑張っているのに売れない」会社に共通すること

私が現場でよく目にするのは、
「もうこれ以上、どう頑張ればいいのか分からない」
という状態にある会社です。

社員は朝から晩まで動いている。
社長自身も、現場の穴を埋めるように動いている。
会議も多く、指示も出している。

それでも結果が出ない。

こうした会社に共通しているのは、
社員が怠けているわけでも、能力が低いわけでもない、ということです。
むしろ真面目で、言われたことはきちんとやる社員が多い。

問題は別のところにあります。

それは、
「何のために、その行動をしているのか」が共有されていない
という点です。

忙しい。
頑張っている。
でも、その行動が売上や利益とどうつながっているのかが、現場から見えない。

結果として、
「とにかく動く」
「とにかく頑張る」
という方向に努力が集まってしまう。

方向が定まらないまま努力量だけを増やしても、
成果につながらないのは、ある意味当然です。

2.売上は「売る」ものではなく、「お買い上げ」されるもの

売上とは、こちらがどれだけ頑張って「売り込んだ」かの結果ではありません。
お客様が「それが欲しい」と判断し、
お金を払ってくれた結果です。

どれだけ訪問したか。
どれだけ説明したか。
どれだけ熱意を伝えたか。

これらは、売上を生み出すための行動ではありますが、
それ自体が売上の原因になるわけではありません。

売上の正体は、
あくまで「選ばれた結果」です。

にもかかわらず、売上が伸びないとき、
多くの社長はこう考えがちです。

「営業が弱いのではないか」
「もっと売り込みを強化しないといけないのではないか」

その結果、
訪問件数を増やすなど、
現場には「とにかく動け」という指示が出ます。

しかし、ここで一度立ち止まって考えてみてください。
お客様は、本当に「説明が足りない」から買っていないのでしょうか。

多くの場合、問題は説明の量ではありません。
こちらが、
「なぜお客様は、それを選ぶのか」
を、はっきり示せていないだけです。

「いい商品なのに売れない」という言葉は、
裏を返せば、
どこで勝負しているのかが、
現場まで共有されていない、
という状態を表しています。

価格なのか。
品質なのか。
スピードなのか。
それとも安心感なのか。

この軸が曖昧なままでは、
営業がどれだけ動いても、
結果につながりにくくなります。

3.気合と根性は、再現性がない

私自身、銀行員時代にいわゆる「夜討ち朝駆け」と呼ばれる営業を経験しました。
数字が足りなければ、「取れるまで帰るな」という世界です。

確かに、短期的には数字が動くこともあります。
ただ、当時から強い違和感がありました。

それは、
「なぜ取れたのか」「なぜ取れなかったのか」が、ほとんど共有されない
という点です。

結果だけが評価され、プロセスは振り返られない。
これでは、

  • できる人はできる
  • できない人は、なぜできないのか分からない

という状態になります。

成果が完全に人に依存してしまうのです。

このやり方を中小企業で続けると、
「社長が一番頑張っている会社」
になりがちです。

しかし、それは決して健全な姿ではありません。
再現できない成果は、組織の力にはならないからです。

4.問題は「努力量」ではなく、「考え方」にある

売上が伸びない原因を、
社員のやる気や能力の問題にしてしまう会社は少なくありません。

しかし、現場を見ていると、問題はもっとシンプルです。

  • 誰に
  • 何を
  • どんな価値として
  • どう届けるのか

この整理が、社長の頭の中にしか存在していない

社長の経験や勘は、間違っていないことが多い。
むしろ、それこそが会社の強みです。

ただ、それが整理されず、言葉にも構造にもなっていない。
その状態で現場に「頑張れ」と言っても、社員は動きようがありません。

社長の考えが、外に出ていない。
ただそれだけのことで、組織は動かなくなります。

5.ここから何を考えるべきか

ここまで読んで、
「では、どうすればいいのか」
と思われたかもしれません。

答えは、目標の立て方にあります。

単に「今月は売上○○万円」と掲げるだけでは、現場は動きません。

その目標が、

  • どんな行動につながるのか
  • 社員は何をすればいいのか
  • どこまでやれば達成なのか

ここまで落とし込まれて、初めて意味を持ちます。

次回は、なぜ売上目標は、いつも達成できないのかというテーマで、この点をもう一段掘り下げます。


✅ 次回 ~ 第2回:なぜ売上目標は達成できないのか|中小企業の社長が見落としがちな原因

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